フルリノベーションでよくある後悔ポイント4つと対策を解説|築古の中古マンションもコツ次第で快適な住まいに!
中古物件のフルリノベーションは、住まいの内装・設備を全て交換したり、間取りを暮らしやすく変えたりできるため、理想の住まいが手に入れやすいのがメリットです。
ただし、部分リフォームなどとは異なる、“フルリノベーション”だからこそ注意すべきポイントもあります。
今回は、中古マンションのフルリノベーションでよくある4つの後悔と、後悔を防ぐためのポイントを詳しく解説します。
フルリノベーション前提のマンション選びのコツや、築古物件の建築年代別の特徴、リノベーションにおける正しいマネープランニング法などを知っておくことで、後悔のない家づくりが実現できます。ぜひ参考にしてくださいね。
コラムのポイント
・中古住宅のフルリノベーションでありがちな後悔ポイントが分かります。
・築古のマンションをフルリノベーションする際に気をつけたいポイントや、中古マンションの築年数別の物件の特徴と物件の選び方が分かります。
・フルリノベーションで起こりがちな予算オーバーや、工事費用大幅にアップしてしまうといった後悔を防ぐマネープランの考え方が分かります。
Contents
フルリノベーションでよくある4つの後悔ポイントと後悔を防ぐ対策
よくある後悔①:希望の間取りが実現できなかった
フルリノベーションで最も後悔が大きくなるのが、せっかくフルリノベーションを選択したのに、希望の間取りにならなかった…という失敗です。
「フルリノベーションなら間取りを一から作りなおせる」、これはある意味では正解ですが、全てを自由に変えられるわけではなく、「できることとできないことがある」ということを理解して、理想の間取りを実現しやすい物件を選ぶことがとても大切になってきます。
【対策①】リノベーションでできること・できないことを知ってミスマッチを防ぐ
間取り変更に関する後悔を防ぐには、まず、基本的にマンションリノベーションでできること・できないことを知った上で、適切な物件を選ぶことが大切です。リノベーションでできること、できないことを、間取り変更、内外装の変更などの項目別にまとめてみましたので参考にしてください。
<間取り編>
- できること:間取りを新しく作りなおす
リノベーションでは、既存の床、壁、天井をすべて取り払って、建物の躯体だけを残した状態(スケルトン)から間取りを作り替えることもできます。 - できないこと:構造上重要な柱・壁などを取り除く
マンション・戸建てともに、耐力壁や構造を支える柱・梁、マンションのPS(パイプスペース)など、どうしても動かせない、変えられない場所はあります。また、物件の構造によっては、水回りを移動すると間取りに制約が生まれたり、天井が低くなるなどのデメリットが起きることもあります。間取りについては、「フルリノベーションだからどんな間取り変更も実現できる」というわけではない点に注意しましょう。
<内外装編>
- できること:好きな素材を自由に使える・家具に合う空間をつくれる
リノベーションでは、好みの内装材が自由に使えるのも魅力です。ただし、マンションによっては管理規約で使用できない床材があったり、遮音等級が指定されていたりするので事前に必ず確認しましょう。
また、新居で使いたい家具があれば、その家具のサイズや配置に合わせたピッタリサイズのスペースを作ることもできます。 - できること:オリジナルの設備や家具をつくれる
リノベーションでは、キッチンや洗面化粧台などをオーダーメイドで造作することも可能です。また、小上がり収納や壁に造り付ける本棚、テレワーク用のデスクなど、スペースやライフスタイルに合わせた収納・家具も造作できます。 - できること:インフラ設備をリニューアルできる
専有部分の給排水管、ガス管、電気配線は新しいものに交換できます。インフラ部分をしっかりと更新することで、暮らしの快適性と安心度がアップします。共用部分の配管は自分では交換できないため、物件探しの段階で配管の修繕計画や修繕履歴があるかをチェックして、適切に管理されているか確認しておきましょう。 - できること:断熱化でエコ&省エネ化ができる
マンションは、熱の出入りが最も多い窓が断熱化の重要なポイントです。ただし窓は共用部にあたるのでサッシの入れ替えなどはできない場合が多く、内側に断熱性能の高いサッシを取り付ける2重サッシ(インナーサッシ・内窓)などで対応します。
また、照明をLEDにする、節水トイレにするなど設備を更新すればさらに省エネ化ができます。 - できないこと:マンションの共用部を変更する
住戸を仕切る床、壁、天井、バルコニー、玄関ドア、窓、マンション全体で使用する配管(縦配管)など、マンションの共用部は管理組合の許可なく変更できません。
ただし、例えば玄関ドアは内側にシートなどを張ってイメージを変えるなどはできます。共用部の変更については、それぞれの物件のルールを必ず確認しましょう。
<その他>
- できないこと:立地条件や周辺環境を変える
リノベーションでは内装や設備は変えられますが、物件のある環境など、元々の条件は変えられません。例えば、部屋からの眺望、日当たり、通風、音環境などが当てはまります。これらの、リノベーション工事では変えられない部分は、物件の内見時にしっかりチェックしておきましょう。
周辺環境をより詳しく把握するために、昼と夜、晴れの日と曇りの日など、異なる状況で何度か訪れてみるのがおすすめです。
また、掲示板や駐輪場などの共用部がきれいに維持されているかなど、マンション自体の雰囲気や住民の印象も、重要なチェックポイントです。
よくある後悔②:リノベーション工事が大掛かりになり費用が大幅アップ
【対策①】フルリノベーションを見越して適切な物件を選ぶ
例えば、マンションのフルリノベーションで水回りを移動したけれど、直床(コンクリートの上に直接フローリングが貼ってある構造)構造だったため、大幅にコストが上がってしまったという失敗談があります。
フルリノベーション前提で物件を購入するなら、自分が理想とする間取りに近い物件・希望する間取り変更がしやすい物件を選んだ方が、リノベーションのコストが最小限で済みます。
物件の条件を事前にしっかり確認し、「やりたいこと」と「実際にできることとコスト」を把握して物件を選ぶことが、予算内で希望のフルリノベーションを成功させるポイントになります。
【対策②】築年数別の中古マンションの間取りの特徴を知っておく
中古マンションとひと言で言っても、建てられた年代によって特徴的な間取りや設備などが存在します。それぞれの年代のマンションの特徴やデメリットを理解しておくと、条件にあった物件探しや検討もスムーズになります。
また、年代ごとに耐震性能や間取り・標準設備の傾向も変わってくるので、フルリノベーションをするにしても、できるだけ少ない工程で理想の暮らしを叶えやすそうな物件を選ぶことが後悔を防ぐ重要なポイントです。
・1970年代以前の中古マンションの特徴
1960年代後半~70年代は、分譲マンションの普及が本格的に進んだ時代です。間取りは40~50㎡台の3LDKタイプが多く、和室が重要視されていました。
この年代の中古マンションは、中央にリビング、南側に和洋室2つの「センターリビング」という間取りが多く、一つひとつの部屋が小さいのが特徴です。個室を閉めるとLDKが暗くなりがちで通風、採光があまり期待できないというデメリットもあります。
この年代の物件で間取り変更など大掛かりなリフォームの場合、申請などの手続きが必要になることが大半のため、マンションの管理規約などでルールをしっかり確認しましょう。
また、埋め込み式の排水管が多いため、床の段差を解消できない可能性も高く、バリアフリーな家にしたい場合も注意が必要です。
・1980年代の中古マンションの特徴
1981年に建築基準法で新耐震基準が導入され、以降は新基準で耐震性の高いマンションが建てられていきます。
また、玄関を住戸の真ん中に配置して、南と北の両方にバルコニーを作る「センターイン型」など、生活動線に配慮した間取りも増えていきます。センターイン型は、北側の洋室が共用廊下に面していないため、プライバシー性も防犯性も高い間取りです。
また、バブル経済の流れで投資や投機用のマンションも多く建てられたのも特徴です。投資・投機用マンションは、あくまで転売目的の購入がメインのため、壁や床が薄かったり、管理体制が不明瞭などの問題がある可能性もあり、事前の見極めが重要です。
・1990年代の中古マンションの特徴
1991年にバブルが崩壊すると、マンションの価格も下がり、ベーシックなプランで専有面積が小さい物件が多くなっていきます。
1990年代前半は、ユニットバスの追い焚き機能や、洗面台のシャンプードレッサー、温水洗浄便座など、生活に便利な設備のある物件やバリアフリー住宅も増え始めます。
さらに、1995年の阪神・淡路大震災を契機に、耐震性能が向上し、床(天井)スラブが二重床になるなど、遮音性能もアップしました。
また、室内の有効面積を増やすため、「アウトフレーム工法」や「逆梁ハイサッシ」が採用され、技術の進歩によって価格を変えずにより広く、開放感がある空間を作れるようになりました。
・2000年代の中古マンションの特徴
2000年代のマンションは、防犯面が充実しているのが特徴です。また、2003年7月の建築基準法の改正によって換気設備の設置が義務付けられ、24時間換気や浴室乾燥機が普及するなど、基本性能が向上します。
さらに、オーダーメイドでデザインされる間取りや、ホテルライクなエントランス、フィットネスジムが備えられたマンションなど、高級志向や共用部分が充実しているマンションが多いのも特徴です。
共用施設は使用しなくても、管理費などから維持費を支払うことになるため、共用部やサービスの内容が暮らし方に合っているかを見極めるのがポイントです。
・その他のチェックしておきたい中古マンション選びのポイント
<建物の状態のチェックポイント>
- 新耐震基準、もしくは耐震基準適合証明書を取得しているか
- 長期修繕計画があるか
- 建て替えが検討されていないか
- 植栽の手入れや清掃、修繕など管理状況が良好か
- 共用施設などを使ったコミュニティが活発か
- 同じ建物の物件はすぐに売れているか
- 同マンション内での住み替えが多いか(住み続けたい魅力があるか)
<立地・資産価値のチェックポイント>
- 鉄道、バスなどの交通インフラ整備がされているか
- スーパー・コンビニなど生活の利便性が高いか
- 新駅誕生や商業施設の建設など(再開発計画)が予定されているか
よくある後悔③:物件価格・工事費用以外の諸費用で予算オーバーした
【対策】事前に物件価格・工事費用以外にかかるお金を予算に入れてマネープランニングする
一般的に、中古住宅購入の際には、仲介手数料や住宅ローンの手数料など物件価格の5~8%程度の諸費用がかかります。また、リノベーション工事にあたっては仮住まいや引っ越し、家具購入など工事以外にもお金がかかります。
中古住宅購入やリノベーション工事の諸費用がどれくらいかかりそうか、見積もりの段階で施工会社や不動産会社に確認しておくと、思わぬ費用で予算オーバーとなってしまう後悔を防げます。
<中古住宅購入時の主な諸費用の例>
- 仲介手数料(物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税)
- 印紙税(金額が1000万円超5000万円以下の場合:1万円)
- 所有権移転登記の費用
所有権移転登記における登録免許税は、
土地:不動産の固定資産税評価額 × 1.5%
建物:不動産の固定資産税評価額 × 0.3%
でそれぞれ計算できます。
また、司法書士へ依頼する場合は報酬(5~10万円程度)が必要です。 - 火災・地震保険料:7万円前後
- 固定資産税・都市計画税清算金
中古住宅の売買では、年の途中で売買契約をした場合、固定資産税と都市計画税は売主と買主がその年に住宅を所有していた日数に応じて負担する慣習になっています。 - 不動産取得税(土地・建物の固定資産税評価額 × 軽減措置の税率3%)
<住宅ローンの主な諸費用の例>
- 印紙税(金銭消費貸借契約書:2万円程度)
- 融資手数料(定額型で3~6万円、定率型で借入金額の2.2%程度が相場)
- ローン保証料
内枠方式は金利に0.2%~0.5%程度上乗せ、外枠方式は借入金額の2%の支払いが相場です。フラット35の場合はローン保証料がかかりません。 - 抵当権設定の登記費用
抵当権も登記の一種のため、抵当権設定には登録免許税がかかります。登録免許税は住宅ローンの借入金額×0.1%(軽減措置の適用)で計算できます。中古住宅購入時の所有権移転登記と同様、司法書士へ依頼する場合は報酬(5~10万円程度)も必要です。
<リノベーション工事の主な諸費用の例>
- 設計料(工事費の10~20%が相場。別途計上しない会社もある)
- 建築確認手数料(戸建ての場合。5,000~50,000円程度)
- 印紙税(数百円~数千円程度)
- 仮住まい費用
- 引っ越し費用
- その他(工事にあたっての交通費や駐車場台、近隣への挨拶時の手土産、費用品処分費用など)
よくある後悔④:暮らし始めてからの家計が苦しくなった
家づくりは、家が完成してからがスタートです。新たな理想の家で新生活…でも、月々のローン返済やマンションの管理費や修繕積立金で家計が以前より苦しくなってしまっては、せっかくの新居での生活も楽しめなくなってしまうかもしれません。
後悔を防ぐには、マンション購入後にかかる定期的な費用もしっかりチェックして、前の暮らしよりもキャッシュフローが悪化しないようにローンの返済額を決めることがとても大切です。
また、賢いローン選びや住宅ローン控除(減税)を活用するなど、返済負担を減らせる対策を前もって知っておくことも重要です。
【対策①】物件購入後にかかる費用を知っておく
中古マンションを購入して住む場合、住宅ローンやリフォームローンの返済に加えて、マンションの管理費や修繕積立金など、賃貸のときには必要なかった支出が増えます。マンション購入後にかかる定期的な費用もしっかりチェックして、前の暮らしよりもキャッシュフローが悪化しないようにローンの返済額を決めることがとても大切です。
<マンション購入後にかかる主な費用>
- 管理費(毎月1万~2万円程度)※専有面積によって差があります。
- 修繕積立金(毎月1万~2万円)※専有面積によって差があります。
- その他
毎月の駐車場・駐輪場代、インターネット使用料など - 不動産取得税
不動産を売買などで取得した時に課される地方税です。不動産の所有権移転の登記をしてから、概ね4~6ヶ月後に納税通知書が届きます。 - 固定資産税・都市計画税
1月1日時点で、土地や建物を所有している人に課される地方税です。物件の評価額や軽減税率などによって異なりますが、毎年10万~20万円程度が目安です。 - 各種保険料(火災保険や地震保険)
【対策②】金利負担の少ないリノベーション一体型住宅ローンや住宅ローン控除を利用する
これまでは、物件購入は「住宅ローン」、リノベーション費用は「リフォームローン」と、ローンを分けて借り入れることが多かったのですが、最近は、リノベーション(リフォーム)費用と住宅購入費用をセットで借り入れできる「リノベーション(リフォーム)一体型ローン」が利用できる金融機関が増えています。
・住宅ローンの特徴
住宅ローンは、物件に抵当権を設定(担保設定)します。金利が安く、最長35年で返済プランが組め、借り入れの金額が高額(1億円までなど)などのメリットがあります。
・リフォームローンの特徴
リフォームローンは公的融資と民間融資の2つに分けられます。公的融資には担保設定が必要で、高額を長期間借りられますが工事内容に一定の条件があります。民間融資は「有担保」「無担保」のものがあり、無担保の場合は、借入金が500万円以下など少額になっています。また、返済期間も15年など短い期間に設定され、住宅ローンより金利も高めなのがデメリットです。
・リノベーション一体型ローンの特徴
リノベーション一体型の住宅ローンは、一般的な住宅ローンと同程度の金利で、物件購入費用とリノベーション費用の両方に使える資金を借り入れできます。
リノベーション・リフォーム工事専用の「リフォームローン」は住宅ローンよりも金利が高く設定されていることが多いため、一体型ローンを利用したほうがより少ない金利負担で融資が受けられます。
中古住宅の購入とフルリノベーションを同時に行うなら、一体型ローンを取り扱っている金融機関を検討してみましょう。
POINT 住宅ローンは住宅ローン減税が受けられる
住宅ローン減税とは、住宅ローンの残高の1%相当分について、10年間、所得税および住民税から控除される制度です。中古住宅購入+リノベーションで、一体型ローンが利用できれば、住宅ローン減税も受けられます。ただし、控除を受けるには工事内容などに条件があるので当てはまるか確認が必要です。
中古住宅の場合、物件購入費用については、耐火建築物の場合は築25年以内、そのほかの建築物については築20年以内でなければ対象にならない点も注意が必要です。ただし、売買前2年以内に「耐震基準適合証明書」や「既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)」「既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書」のいずれかの書類により、耐震基準を満たすことを証明された建物は減税の対象になります。
住宅ローン減税を利用する場合は、リノベーション完了の翌年に確定申告をするのを忘れないようにしましょう。次年度からは勤務先での年末調整が受けられます。
まとめ
今回は、中古マンションのフルリノベーションでよくある後悔と、後悔を防ぐ対策について解説しました。
築古のマンションでも、ポイントをおさえた物件選びやリノベーション計画、マネープランニングによって、理想の住まいを実現できます。
ただし、フルリノベーションに適した物件選びや、可能な間取り変更などは個人で判断するのは難しく、検討にも時間もかかります。リノベーションで理想の暮らしを実現したいなら、まずは物件探しの前にリノベーションの専門家に相談するのがおすすめです。
物件探しからできるリノベーションの施工会社なら、希望する立地や暮らし、予算に合わせた物件探しのアドバイスや、資金計画・ローンの手続きの進め方、理想の暮らしを叶えるリノベーションプランニングなど、様々な面でサポートができます。
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