長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金額や対象工事は?2025年版の条件について解説

長期優良住宅化リフォーム推進事業のイメージ

2025年の長期優良化リフォーム推進事業の内容が発表されましたが、補助金額や対象工事など分かりにくい部分も少なくありません。

そこでこの記事では、長期優良住宅化リフォーム推進事業について、分かりやすく基礎知識をまとめます。

どんな工事が対象になり、いくらの補助金を受け取れるのか、利用するための要件などを1つずつ解説します。

 

このコラムのポイント
  • 長期優良化リフォーム推進事業は戸建て・アパート・マンションなど幅広い住宅が対象になります。
  • 補助率はリフォーム工事費用の1/3、上限は80~210万円となっています。
  • 補助金を受けるための要件、具体的な対象工事などを1つずつチェックしましょう。

 

 

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは

具体的な補助対象や金額について掘り下げる前に、まずは長期優良住宅化リフォーム推進事業の基本的な概要をチェックしておきましょう。

長期優良住宅化リフォーム推進事業は国土交通省の補助金事業で、公式サイトでは次のように記載されています。

 

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、 既存住宅の長寿命化や省エネ化等に資する性能向上リフォームや子育て世帯向け改修に対する支援を行う事業です。

引用元:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業

 

自宅や中古住宅などの長寿命化や省エネ化、子育て世帯向け改修などのリフォームを実施する既存住宅に対し、補助金が支給されます。

 

  • 住宅の性能向上工事
  • 三世代同居対応改修工事
  • 子育て世帯向け改修工事
  • 防災性、レジリエンス性の向上改修工事

 

具体的には、上記のようなリフォーム工事が補助対象です。

詳しい工事内容については次の章で掘り下げます。

対象となる住宅

長期優良住宅化リフォーム推進事業の対象となる住宅について、次のように規定されています。

 

リフォームを行う住宅

既存の戸建て住宅、共同住宅いずれも対象

事務所や店舗などの住宅以外の建物は対象外ですが、床面積の過半が住宅である併用住宅は対象になります。

引用元:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業

 

一定のリフォーム工事をする場合、戸建て・マンションやアパートなどの共同住宅も含めて補助金の対象となります。

また、事務所や店舗などの用途の建物は対象外ですが、店舗併用住宅や事務所兼自宅などで、自宅部分の床面積が半分以上あれば利用できます。

補助率と補助上限

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助率は工事費用の1/3で、上限は住宅性能によって2つに分かれています。

 

事業タイプ 補助上限
評価基準型・提案型

認定基準には満たないが一定の性能確保が見込まれる場合

80万円/戸
認定長期優良住宅型

長期優良住宅(増改築)認定を取得するための基準

160万円/戸

参照:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 事業概要

 

長期優良住宅化リフォーム推進事業の性能基準の図

引用元:参照:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 事業概要

 

「評価基準型・提案型」は長期優良住宅の認定を受けない場合で、性能基準が低く設定されている半面補助金額の上限も低いです。

長期優良住宅の認定を受けると補助上限は160万円と高くなりますが、性能基準も上がるため必要なリフォーム費用も増加します。

また、補助金額の下限は10万円のため、最低でも30万円以上のリフォーム工事が必要です。

どちらがお得になるかはケースバイケースなので、リノベーションに詳しいプロに相談しながら費用対効果を考えるのが良いでしょう。

次の条件を満たす場合、補助上限が50万円加算されます。

 

  • 三世代同居対応改修工事を実施する場合
  • 若者・子育て世帯が改修工事を実施する場合
  • 既存住宅を購入し改修工事を実施する場合

 

親・子・孫が同居する二世帯住宅や、若者世帯・子育て世帯がリフォームする場合はより多くの補助金を受けられる可能性があります。

中古住宅を購入してリフォームやフルリノベーションをする場合も、補助上限が加算されるため積極的に活用したい制度ですね。

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助要件

長期優良住宅化リフォームの計画

実際に長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助を受けるためには、次の4つの要件をすべて満たす必要があります。

要件1:住戸面積の確保や居住環境

長期優良住宅化リフォーム推進事業を利用するためには、リフォームを実施する住宅の面積や環境などの条件をクリアする必要があります。

 

住戸面積の確保 ・・・少なくとも1の階の床面積(階段部分を除く)が40㎡以上、かつ、延べ面積が55㎡以上であること。延べ面積の過半が住宅(リフォーム前後共)であること。

居住環境 ・・・地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合には、これらの内容と調和が図られること。

維持保全計画の策定 ・・・維持保全の期間(30年以上)について、評価基準で求める内容を維持保全計画として定めること。

引用元:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 補助を受けるための要件

 

補助金の対象になるのは、延床面積55㎡かつワンフロアの床面積が40㎡以上の住宅です。

店舗併用住宅や事務所兼自宅の場合は、延床面積に対して住宅部分が50%以上必要です。

また、都市計画に含まれている土地の場合は、地域のルールに則ったリフォーム工事が求められます。

さらに、建物の劣化対策やメンテナンスなど、30年以上にわたる維持保全計画の策定も必要になります。

 

要件2:実施するリフォーム工事の内容

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助対象となる工事は、次のように規定されています。

 

補助対象となる住宅に実施するリフォーム工事の内容が、住宅の性能基準に適合させるための工事、 三世代同居対応改修工事及び子育て世帯向け改修工事並び防災性、レジリエンス性向上改修工事のいずれかであること。

引用元:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 補助を受けるための要件

 

詳しい工事内容については次の章で掘り下げます。ここでは大まかな概要を押さえておきましょう。

要件3:リフォーム後の住宅性能の基準

長期優良住宅化リフォーム推進事業は3つのタイプがあり、それぞれの住宅性能の基準を満たす必要があります。

 

事業タイプ リフォーム後の住宅の性能
認定長期優良住宅型 長期優良住宅(増改築)認定を取得するための基準
評価基準型 認定基準には満たないが⼀定の性能確保が見込まれる水準
提案型 認定基準や評価基準によって評価できない性能向上工事について、先導性・汎用性・独自性等の高度な提案性を有する場合、「事前採択タイプ(提案型)」に応募することができる

引用元:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 補助を受けるための要件

 

一般的には、予算や求める住宅性能に合わせて「認定長期優良住宅型」「評価基準型」のどちらかを選ぶことになります。

事業タイプによって適合が必要な性能項目が定められています。

 

性能項目 概要 リフォーム後の住宅の性能
①躯体構造等の劣化対策 柱、床などの腐朽、蟻害の抑制 必須
②耐震性 大地震でも倒壊しないよう耐震性の確保
③省エネルギー対策 窓や壁、床、天井などの断熱化

給湯器などの効率化

④維持管理・更新の容易性 給排水管を点検・清掃・交換しやする 任意

(認定長期優良住宅型を選択した場合は必須)

⑤高齢者等対策(共同住宅のみ) バリアフリー化
⑥可変性(共同住宅のみ) 将来の間取りの変更等に対応しやすくする

引用元:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 補助を受けるための要件

 

認定長期優良住宅型はすべての性能項目への適合が必要になり、評価基準型は①~③の耐久性や省エネ性など基本的な住宅性能が求められます。

さらに詳しい評価基準については、公式サイトもごらんください。

参考:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 評価基準等

要件4:工事着手前のインスペクションの実施

リフォーム工事に着手する前に、インスペクション(現況検査)を実施することも長期優良住宅化リフォーム推進事業の要件になっています。

インスペクションとは建物の現在の状況や劣化の有無を調査することで、「既存住宅状況調査技術者」による実施が必須です。

インスペクションで劣化が見つかった場合は、リフォーム時に補修をするか、将来の対応を維持保全計画書に記載する必要があります。

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助対象工事

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助対象工事は、次の4つのジャンルに分かれています。

 

  1. 住宅の性能向上工事
  2. 三世代同居対応改修工事
  3. 子育て世帯向け改修工事
  4. 防災性、レジリエンス性の向上改修工事

 

それぞれの内容、どのようなリフォーム工事が補助金の対象になるのかチェックしていきましょう。

住宅の性能向上工事の要件

長期優良住宅化リフォーム推進事業の住宅性能向上工事

住宅の性能向上工事は、「特定性能向上リフォーム工事」と「その他性能向上リフォーム工事」の2種類に分かれています。

 

※住宅の性能向上工事

  • ①構造躯体等の劣化対策
  • ②耐震性
  • ③省エネルギー対策
  • ④維持管理・更新の容易性
  • ⑤高齢者対策(共同住宅のみ)
  • ⑥可変性(共同住宅のみ)

 

住宅の性能向上工事は①~③が必須項目、認定長期優良住宅型の場合は全てが必須となります。

 

※その他性能向上リフォーム工事

  • インスペクションで指摘を受けた箇所の改修工事(外壁、屋根 の改修工事等)
  • バリアフリー工事(住戸内の工事)
  • 環境負荷の低い設備への改修
  • テレワーク環境整備改修
  • 高齢期に備えた住まいへの改修
  • 一定水準に達しない④~⑥の性能向上に係る工事 等

 

その他性能向上リフォーム工事では、劣化している箇所の補修や、環境負荷を軽減するための高断熱浴槽・節水型トイレの設置などが対象となります。

比較的幅広いリフォーム工事が対象になるため、活用しやすい項目と言えるでしょう。

さらに詳しいリフォーム工事の内容については、公式サイトもごらんください。

参考:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 住宅の性能向上工事

三世代同居対応改修工事

三世代同居対応改修工事は、親子・孫世帯が同居するための水回りの増設や間取り変更などが対象となります。

 

長期優良住宅化リフォームの三世代同居対応改修工事の例・リフォーム工事後に、調理室等(キッチン、浴室、トイレ又は玄関)のうちいずれか2つ以上がそれぞれ複数箇所ある住宅かつ、住戸内で行き来ができることを要件とします。

・複数世帯が同居しやすい住宅とするため、調理室等(キッチン、浴室、トイレ又は玄関)を増設する工事及びその付帯工事が対象です。

引用元:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 三世代同居対応改修工事

 

具体的には、リフォーム工事によってキッチン・浴室・トイレ・玄関のうち2つ以上を設置し、親子世帯の居住スペースが屋内で行き来できることが要件です。

つまり、同居型や部分共有型の二世帯住宅は補助金の対象になり、完全分離型は対象外になります。

子育て世帯向け改修工事

長期優良住宅化リフォーム推進事業の子育て改修工事

子育て世帯向け改修工事では、子育てしやすい対面キッチンへの改修や、家事負担の軽減といったリフォームが対象になります。

 

分野 具体的な工事内容
住宅内の事故防止 ・柱・壁等の出隅等の衝突防止のために行う角を丸める工事

・床仕上を衝撃吸収性のあるクッションフロアに変更する工事

・転倒防止の為に行う人感センサー付き照明器具の設置

・転落防止手すりの設置、シャッター付きコンセントへの交換

子どもの様子の見守り ・対面式キッチンとするためのキッチンの移設・交換、間仕切り等工事

・家事をしながら子どもの見守りができる家事スペースの設置

不審者の侵入防止 ・防犯性強化のために行うガラス、サッシ、玄関扉の強化(リフォームする部位は原則CPマークを取得したもの)、後付けクレセント等、ツーロック化

・防犯カメラの設置、カメラ付きインターホン設置等

災害への備え ・家具固定用の長押、壁下地補強(構造用合板下地などを対象、家具固定自体は対象外)

・避難導線の確保のために行う玄関の耐震ドア化

親子がふれあえる空間づくり ・親子でふれあえるスペースを作るために行うキッチン、浴室の拡張工事

・キッチンの作業スペースを拡大するための調理台設置

子どもの成長を支える空間づくり ・親子で入ってトイレのトレーニングができる広さを確保するための工事

・キッズスペースを設置するために行う床・壁仕上げの張替え工事

・子どもが使いやすく安全な水栓、電気スイッチ等への交換

生活騒音への配慮 ・外壁開口部の遮音性を向上させるための内窓設置、サッシ交換(JISに基づく遮音性能1以上)
子育てに必要な収納の確保 ・収納広さ確保のための間仕切り、内部造作等
家事負担の軽減 ・掃除がしやすい床、壁、天井の仕上貼り替え工事

引用元:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 子育て世帯向け改修工事

 

親子でコミュニケーションを取るための間取りづくり、転倒や落下事故の防止など、幅広いリフォーム工事が対象です。

 

※工事発注者の要件

  • 若者:令和7年4月1日時点で発注者が40歳未満であること
  • 子育て世帯:令和7年4月1日又は交付申請日時点に18歳未満の子供がいること

 

子育て世帯向け改修工事で補助を受けるためには、上記どちらかの要件に適合する必要があります。

出産を控えたご家庭や、小さなお子様が居る方は積極的に活用したいですね。

防災性、レジリエンス性の向上改修工事

長期優良住宅化リフォーム推進事業の防災工事

防災性、レジリエンス性の向上改修工事では、地震や台風といった自然災害への備え、電力や水の確保などが対象となります。

 

※防災性の向上改修工事

地震災害への備え ・建物の揺れや損傷を軽減するための工事

・瓦の交換工事

・避難動線確保工事

・家具の転倒防止(下地処理)工事

・地震による設備配管の損傷を軽減するための工事

台風(風災害)への備え ・瓦の交換工事

・開口部(窓)の強風対策工事

水害への備え ・大雨による浸水対策工事
火災への備え ・外壁開口部の防火性能向上

・火災対策工事

引用元:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 防災性、レジリエンス性の向上改修工事

 

防災性の向上改修工事では、地震・台風・水害・火災などを想定した、さまざまなリフォームが対象です。

瓦や雨どい、玄関ドアなど建物の外部から、給排水管やブレーカーなど建物の内部まで対象工事は広いです。

 

※レジリエンス性の向上改修工事

電力の確保 ・災害時の電力の確保の為の工事
水の確保 ・災害時の飲料水、生活水確保のための工事

・開口部(窓)の強風対策工事

防災備蓄のためのスペース確保 ・防災用品置き場スペース確保のための工事

引用元:令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 防災性、レジリエンス性の向上改修工事

 

レジリエンス性の向上改修工事は、災害が発生した後の電力や水の確保、防災備蓄のスペース確保などが対象になっています。

自家発電装置や貯水タンクの設置など、災害時の備えのほか、非常用水として使えるヒートポンプ式給湯器の設置なども含まれます。

まとめ

長期優良化リフォーム推進事業の対象工事は幅広く、自宅や中古住宅のリフォーム、アパートなど投資物件の改修などにも活用できます。

補助上限が大きいため、住宅全体のフルリフォームやリノベーションの際は積極的に活用したい制度です。

補助金制度に詳しいリフォーム・リノベーション専門店に相談して、サポートを受けながら活用を検討してみましょう。

 

ライズクリエーションのリフォームスタッフ

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