増築できない家の見分け方と対処法|リフォーム・リノベーションで対策!
お子さんの誕生やご両親との同居など、ライフスタイルの変化で増築を検討するケースは多いです。
しかし、建物の状態や法規制によっては、増築できない家もあるので要注意。
今回は、増築できない家の見分け方と対処法について詳しく解説します。建て替え・住み替え・間取り変更リフォームなど、増築できないときの選択肢を把握しておきましょう。
- 建ぺい率や容積率、再建築不可など、増築できない家のパターンを覚えておきましょう。
- 建て替え・住み替え・リノベーションなど、増築できない家の対処法はいくつか考えられます。
増築リフォームのメリット
まずは、増築リフォームするメリットをご紹介します。
ライフスタイルの変化に対応できる
増築によって部屋数や延床面積を補い、ライフスタイルの変化に対応できるのは大きなメリットです。
例えば、お子さんの誕生で部屋数が足りなくなっても、庭を潰して1部屋増築すれば簡単に対応できます。
新築や建て替えよりコストを抑えられる
増築はある程度の費用がかかるものの、新築や建て替えよりはコストを抑えられるのも魅力的なポイントです。
仮に6畳の部屋を増築すると数百万円かかりますが、新築や建て替えに比べればかなり安いですよね。
仮住まい無しで負担が少ない
増築は既存部分への影響が少ないため、仮住まい無しで工事を進められるケースが多いです。
仮住まい無しで済むので、引っ越し費用や家賃などのコストと手間がかからないのは大きなメリットです。
増築リフォームのデメリット
増築リフォームには、次のように注意すべきデメリットも存在します。
雨漏りのリスクが増加する
増築の状況にもよりますが、既存建物との接続部分で雨漏りのリスクが増加するのは大きなデメリットです。
元の建物と新しい増築部分の接合部は、地震で揺れたときに力が集中してひび割れが発生しやすくなり、雨漏りの原因になるケースも。技術力の高い工務店やリフォーム会社ならある程度対策できますが、どうしても雨漏りリスクは高くなります。
固定資産税が高くなることがある
増築によって建物の評価額が増加し、固定資産税の金額が高くなることがあるのもデメリット。固定資産税評価額は延床面積も考慮されるため、増築によって高くなるケースが多いです。
建物の外観デザインをまとめるのが難しい
増築で建物のシルエットが変わると、外観デザインをおしゃれにまとめるのが難しいケースも多いです。新築時に考えた外観デザインが崩れてしまうので、全体のバランスを取るのが難しいのです。
10㎡を超える増築は建築確認申請が必要
増築部分の床面積が10㎡(約6帖)を超える場合は、建築確認申請が必要になり手間と費用がかかります。建築士に書類作成や手続きを依頼することになり、一般的には15~30万円程度かかることが多いです。確認申請が必要な増築を申請せずに行うと、最悪取り壊し命令を受ける可能性もあります。
増築できない家の条件
次のような条件の家は増築できないので、中古住宅やご自宅が当てはまらないかチェックしてみてください。
建ぺい率・容積率が上限に達している
今の建物の延床面積が、その土地に定められている建ぺい率・容積率の上限に達している家は増築できません。
- 建ぺい率:敷地面積に対する建築面積の割合
- 容積率:敷地面積に対する延床面積の割合
例えば、敷地面積150㎡、容積率80%の場合、延床面積の上限は120㎡です。すでに家の延床面積が120㎡ぴったりの場合は、増築できないというわけです。
建ぺい率や容積率は変更されているケースもあるので、自治体の建築指導課や都市計画課に問い合わせて調べるのが確実です。増築で建ぺい率や容積率をオーバーすると、違反建築物となってしまうので注意しましょう。
再建築不可である
接道義務を満たしていない「再建築不可」の建物は、確認申請が必要な増築はできません。10㎡以下の増築ならできるケースもありますが、将来建て直しや大規模リノベーションができない可能性があるのでリスクも考えられます。
ただし、接道義務を満たせず再建築不可になっている家は、セットバックで増築できるケースも。セットバックについては後半で詳しく解説します。
斜線規制や高さ制限をクリアできない
住宅地の日照を守るための斜線規制や高さ制限に引っかかる場合も、増築はできません。2階に増築する場合は、特に北側斜線規制や道路斜線規制の確認が必要です。
建築確認申請が不要な10㎡以下の増築でも、斜線規制や高さ制限は適用されるので要注意。
自治体の条例で制限されている
建築基準法はクリアできても、自治体独自の条例やルールで増築が制限されるケースもあります。
例えば、景観を維持するための風致地区では増築に許可が必要となり、状況によっては認められないケースも。発展を抑制するための市街化調整区域も、増築に許可が必要となる場合があります。
検査済証がない
新築時の完了検査を経て発効される検査済証がない家も、原則的には増築できません。
検査済証は、建築基準法に違反していないことを証明する書類で、建築確認申請の際に必要となります。検査済証は再発行できないため、紛失してしまうと増築の手続きができないのです。
建築台帳記載事項証明書のように検査済証の代わりになる書類もありますが、複雑な手続きが必要になるので手間がかかります。
増築できない家の対処法
前述したような理由で増築できない家は、次のような対処法を検討しましょう。
セットバック
接道義務違反による再建築不可が原因で増築できない家は、セットバックで対応する方法があります。
セットバックとは敷地を後退させて道路を広げることで、接道義務を満たすことができます。敷地は少し狭くなってしまいますが、再建築不可の制限が解除できるので、増築も可能になるということです。
建て替え
建築基準法による制限や建物の構造が原因で増築ができない場合、建て替えで対処するのも1つの選択肢です。
建て替えなら1から設計できるため、建ぺい率や容積率ギリギリまで床面積を確保できます。間取りの工夫で居住スペースや部屋数を増やすこともできるので、延床面積を拡大できない場合でも対処しやすいでしょう。
ただし、建て替えは数千万円の費用がかかるので、増築よりかなり負担は大きくなります。また1年前後の仮住まい期間も発生するので、引っ越しや新生活に慣れる必要があるのもデメリット。
住み替え
増築できない家をいったん売却して、ほかの家に住み替える方法もあります。
住み替えなら間取りを自由に選べるので、部屋数や延床面積の問題を解決できるでしょう。中古住宅や建売なら比較的早く引っ越せますし、仮住まい期間もかかりません。
ただし、今の家のローン残債がある場合、完済しないと売却できないので難易度は少し高くなります。思ったような金額で売却できないと、新しい家の購入資金が足りなくなるケースも。
全面リフォーム・リノベーション
増築できず、建て替えや住み替えも難しい場合は、全面リフォームやリノベーションで対策するのがおすすめです。
全面リフォームやフルリノベーションなら、延床面積を拡大できなくても、間取り変更で部屋数不足や狭さを解決できる可能性が高いです。リノベーションなら、建て替えより費用を抑えて新築同様の性能やデザインになるのもうれしいポイント。
一戸建て全面リフォームの費用相場や建て替えとの比較は、こちらのコラムもご覧ください。
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築50年の戸建てはリフォームか建て替えか?費用比較や何年住めるか解説
まとめ
増築できない家の条件はさまざまなので、必ず建築知識が豊富なプロと一緒に確認をしましょう。よく確認せず増築してしまうと、違反建築となり取り壊し命令されてしまう恐れもあります。
もし増築できない家でお悩みの場合は、建て替えやリノベーションなどほかの選択肢も検討してみてください。どの方法が良いかはご自宅の状況やご予算によって変わりますので、フラットな目線で比較検討するのがおすすめです。
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